第7回 新築のすまい

小山邸(清内路村)

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 小山邸は清内路村を通る国道256号線から私道を少しのぼった静かな山の中にある。南向きの斜面を利用して陽当たりの良い新築の家である。玄関を入ると素の梁とコンクリートむき出しの壁が目に入る。その壁には子供さんの遊び道具の弓矢の的が貼られ、奥に二階への階段と共に縄梯子がある。そこを上ると段差のない畳とフローリングのオープンスペースになっていて、壁に梯子、続いて天井に雲梯(うんてい)があり、三階への階段付近に登り棒や縄が吊されている。さながら室内アスレチックである。絶好の遊び場を得た子供さんたちはご機嫌だった。また食堂もオープンスペースから同じフロワーにあり、奥様は子供さんたちに気を配りながらも自分の時間を持てるようだ。

 梁、壁板、天井等々木材が露出している。オープンスペースの天井はあらわしになっており三階の床そのもので、見ようによっては天井が張られていない感じもする。これは強度的には問題はなく、また暖房効果としては0Mシステム(太陽熱を利用した全館冷暖房空調システム)やペアガラスの採用により問題はない。小山さんは海外にも多くの友人がいらしゃるが、その一人が訪ねて来た折りに「この家はゴージャスだ」と言ったそうだ。ログハウスとは違った日本的なむくの建材のぜいたくな扱いにそのような表現をしたらしい。

 この宅地の周辺は山も含めて先祖代々のものである。そこの杉や赤松を切りだして建材としている。また生活用水は昔からの湧き水を使っている。ここの生活は「先祖代々が守ってくれているような気持ちになります」と夫妻は語る。

 すまいを作ることはたんに器を建てることではなく、どこでどう住みたいのかが大切だと思う。すまいの新築は立地の自然風土の条件や、今のライフスタイルや時には家の歴史など自分の生活を見直す良い機会であると思う。
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